建築費の高騰
みなさん、師匠の僧も走ると言われる程忙しい年末の中、いかがお過ごしでしょうか?
ちょうどこのコラムを寄稿するのが年末ギリギリになってしまいまして、街に出れば車の交通量も多いし、年末の買い物なのかスーパーなども普段より混んでいるように思います。
ただ、その中で思うのは、やはり商品が値上がり・値上がりで消費者としては購買意欲がダウンしてしまいます。それでも必要なものは購入しないといけないわけで…
価格が上がって驚くのが、燃料費もそうですね。車社会のこの地域ではガソリンを購入しないわけにはいかず、ガソリンを入れにいくたびに、なんと高くなったことか。1リットルが100円ちょっとだった時を思い浮かべてしまいますね…
なんて暮らしにくい時代になったものでしょうか…
建築費にも影響が…
価格の上昇は、当然に建築費にも影響を及ぼしています。
少し前から話題に上がっております、関西万博の会場建築費が当初予算の1.9倍になってしまったようです。約2倍になることなんて考えられるのか?とは思うものの、やはり建設業界でも値上げラッシュは続いてきており、以下の内容での価格上昇はあろうかと思われます。
- 建設資材
- 住設機器関係
- 人件費
この中で驚くほどの価格高騰になってしまったのが、木材の金額であろうと思います。
2021年の3月頃から、木造建築には必要不可欠な木材の需要がひっ迫して木材不足による価格が高騰し、大きな混乱が生じました。この状況をウッドショックと言うようになりました。
当初は価格の高騰どころか、木材が調達できずに、建築の工期が遅延する現場も出るくらいでした。
木材の価格は、毎月上昇を続け建築費の見積りをした時点から、木材を納入する時点ですでに相当な金額の値上げが見られ、それでも木材を購入しないと建築ができないという状況になり、ゼネコンはお施主様との金額合わせに四苦八苦することになりました。
ウッドショックの原因は?
ウッドショックの原因は以下のようにコロナ禍が大きな要因でした。
- 日本の住宅メーカーが使う木材の7割は輸入材頼っていた中で、コロナ禍で海外の労働者が減り伐採が思うようにいかず、製材工場の稼働率も下がってしまったため木材自体が減少しました。
- アメリカや中国では、莫大な財政出動と歴史的な住宅ローンの低金利政策が取られた結果、リモートワークのために郊外に新しく住宅を購入するようになりました。その結果、需給バランスが大きく崩れて、十分な量の輸入材が日本に入ってこなくなってしまいました。
国産材を使うにも、国産材はそもそも高いですし、突然の不足に対応する程の在庫もなく、ウッドショックとなったのです。
このウッドショックで木材の金額が一気に値上がりして、木材の金額が今までの二倍くらいになるところもあったのではないでしょうか?
それに加えて、燃料の高騰を生んでしまった戦争が始まってしまい、原材料の高騰につながり、木材以外の建築資材や住設機器も全て値上げになっています。
値上げされているものの一例をあげると、
- 鋼製建具(サッシや玄関ドア)
- 木製建具
- 外壁材(サイディングなど)
- 仕上材(フローリング、クロスなど)
- 住設機器(キッチン、ユニットバス、トイレなど)
など、ほとんどのものが値上げとなっています。それも、この2年くらいの間で2回以上値上げがされているものも少なくありません。
ここまで、全てのものが大きく値上げをされていけば、当然に建築費のトータルの金額も大幅なアップとなっています。ウッドショックの前の時点での金額から、ほぼ1.3~1.5倍くらいになっている会社もあるのではないでしょうか?(木造以外のハウスメーカーはどの程度のアップなのかは把握できておりませんが・・・)
現在は・・・
現状はといいますと、ウッドショックにつきまして、大分平常を取り戻してきたように思います。ただ、一回金額が上がったものが、コロナも心配しなくてよくなったとしても元に戻ることは、まず無いでしょう。高止まりということになってしまうと思います。(若干は戻ってきていますが)
ただ、昔と同じ金額で購入することは、今や不可能になってしまったと思うほうがよろしいと思います。その他の建築資材については、まだまだ値上がりするような話もあるようで、残念ながら先が見えない状況はまだまだ続きそうですね。
ということは、現状の販売価格が基準価格になっているということです。数年前のことなので、「ちょっと前ならいくらで建築できたのに…」と言ってももうその金額になることはまず無いでしょう。値下げをしていくことはまずありえないことですから。
ですので、これから建築される方は今までのことは忘れて、現状の金額でご予算を考えていく必要がありますよね。各会社によって建築費は様々ですから。厳しい金額になってしまいましたが、その中でご予算に合わせた、建築会社選びをしていく必要があろうかと思います。